フォナック(Phonak)のロジャーはFM補聴器のかわりになる新しいデジタル補聴援助システムです。補聴器や人工内耳のほかに、聞こえをサポートしてくれる補聴援助システムがあります。近年では学校や会社に難聴がある方の為の設備を導入する働きがあります。その多くに使用されているのがスイスの補聴器メーカー、フォナックのロジャーと呼ばれる補聴援助システムです。補聴器や人工内耳をつけていても聞きとりに難しい場面があったり、聞きとりの限界があります。補聴器や人工内耳では改善が難しい聞きとりをロジャーは補ってくれるんです。難聴ではなくても周りの音が気になり会話を聞くことに集中することができない方にもロジャーはお使いいただけます。
難聴になる時期とことばのききとりと発達
聴覚はコミュニケーションをとることや学習をする時にはとても重要となります。幼少時に難聴になると程度に関係なく言語発達に大きな影響を与える事となります。学習に関しても困難な場面が多くなり、家族、学校、社会生活の中で困難を経験する事が多くなります。例えば学校の教室内の環境では雑音が多く、反響もあり教卓からの距離が遠いと難聴があると不利な立場となります。子供の時に難聴になると大人になってから難聴になるのと比べて言葉を聞きとる力や言語発達に大きく影響します。幼少期の難聴には家族が最大限の配慮をして、早めの補聴器装用、もしくは人工内耳の装用が重要です。人間が言語に敏感になる時期は1歳半から3歳半までの期間だそうです。その時期に言葉の覚えや、ことばの発音などで少しでも気になる事があれば早めに病院で診てもらい、必要となれば補聴器を早期にすることが望ましいです。
補聴器や人工内耳をつけても聞きとれないことがある
補聴器や人工内耳を着けていても聞きとりに困る場面はあります。補聴器は何でも聞こえるようになる万能なモノではありません。補聴器や人工内耳をつけていても聞きとりに困る環境や場面を三つ紹介します。
- 話し手との距離がとても離れているとき
- 周りがとても騒がしい環境での聞きとりや騒音下の聞きとり
- 反響音や残響音で言葉がはっきりと聞くことができない
基本的には補聴器や人工内耳は対面での1対1の会話を補うように作られています。周りの環境もある程度静かな場所での聞きとりを補助してくれるように機能します。話し相手との距離は約2mまでが限界とされていて、それ以上離れたところからの声を聞くのは難しいです。聞こえが難しくなる状況には騒音や反響音もありますが、距離の関係や話し手の声の大きさなどがあります。話しをしている場所が騒がしい環境になると多くの音や声が会話と混ざって聞きたい会話の内容の認識が困難になります。補聴器や人工内耳をすれば何でもよく聞こえるようになるというのは無理です。言葉の聞きとりは話しをする場所の部屋の広さや話し手との距離、周囲の騒音の大きさで変わるんです。たとえば近い距離で対面した時の聞きとりは100%の明瞭度があっても、3m程離れると40%程度まで明瞭度が下がってしまうというケースがありますので距離や周囲の状況は非常に聞きとりと関係性が高いです。
補聴援助システムを使って補う
補聴器や人工内耳で聞きとりが難しい環境で有効になるのが補聴援助システムです。この補聴援助システムですが、話しをする人がマイク(送信機)を使用して補聴器に音声を届けるという仕組みです。送信する方法もさまざまあり、磁気誘導コイル(Tコイル)を使用する磁気ループシステム、赤外線を使う赤外線システム、FM電波を使ったFMシステム、そしてデジタル方式でのデジタル補聴システム(ロジャー)です。ロジャーはスイスの補聴器メーカー、フォナックが開発している補聴援助システムです。
デジタル補聴援助システムロジャーについて
今までのFMシステムとロジャーの違いについて説明します。従来のFMシステムは送信機と受信機を同じチャンネルに設定しなければいけなかったので使用するのに制限がありました。ロジャーはチャンネルの設定が不要となり、ボタンを押すだけでワイヤレスマイクや受信機とスピーカーが同じネットワークにつながるようになります。FMシステムであれば受信機との場所が近ければ干渉しやすいというデメリットがあったのですが、ロジャーの場合それらが近くにあっても干渉することはありません。ロジャーはデジタル無線方式を使っているのでクリアな音質で聞きとりができます。
ロジャーはマイクロホンが付いている送信機から、話し手の声を補聴器または人工内耳に取りつけた受信機へ送信して聞きとり改善をします。騒がしい場所や反響が多い場所のほかに話し手との距離が離れているなどの場面で有効的に活用できます。FMシステムを使用した時とロジャーを使用した時で騒音下での言葉の聞きとりを比較したデータがあるのですが、FMシステムでは35%の聞きとりに対して、ロジャーでは54%にまで上がっています。ロジャーを使用すれば学校の教室、職場の会議室などでの聞きとりの違いをはっきりと実感する事ができるでしょう。
ロジャーシステム、受信機と送信機の種類について
ロジャーは受信機と送信機が各種リリースされています。ロジャーの受信機にはいくつかの種類があり、お使いの補聴器にあわせてご利用いただけます。ロジャーマイリンクは首にかけていただいてお使いいただきます。他2種は補聴器本体に取り付けることができる受信機です。ロジャーはフォナック以外のメーカーでもTコイルが内蔵されていれば対応できるので一体型でいけるのか、マイリンクしか合わないのかははじめに確認しなければいけません。
ロジャー送信機一覧
ロジャーはさまざまなシーンで便利に使えます
フォナックのロジャーは使い方のバリエーションが豊富です。学校の授業、会社の会議などでとても有効的に使うことができます。ロジャーはさまざまなシーンであなたの聞こえをサポートしてくれます。
スマートホンをお持ちの方であればUDトークというアプリをぜひ利用しましょう。ロジャーとペアリングするとより有効に使うことができます。
UDトークは3つのコミュニケーションを実現します。1対1の会話から多人数の会話や会議まで、使い方次第で幅広く様々な方とのコミュニケーションに活用することができます。またプロジェクタへの出力やパソコンアプリとの連携でイベントや講演会などでもユニバーサル対応をすることができます。
- 「音声認識+音声合成」機能を使って視覚聴覚障害間コミュニケーション
- 「多言語音声認識&翻訳」機能を使って多言語コミュニケーション
- 「漢字かな変換や手書き」機能を使って世代間コミュニケーション
UDトークアプリは無料でお使いいただけます。(機能に制限があります)連続発話の時間制限解除は有料となり、一ヶ月240円でご利用いただけます。
ロジャーの保証について
ロジャーにはあんしんサポートがあります。保証については以下の通りとなります。
自立支援法とロジャーについて
聴覚障害の手帳をお持ちの方で知っている方もいらっしゃるかもしれませんがフォナックのロジャーは基準外申請として特例で補装具として支給される事があります。フォナックのロジャーは自立支援法の特例補装具に認められています。しかし全員が支給されるかというと残念ながら出ない場合もございます。自立支援法では、FM機器が自立支援法支給の対象となっていて、FM機器ではないロジャーは支給対象外とされるケースがあります。ロジャーが補装具としてはまだ浸透していない地域もありますが少しずつ支給が認められるケースが増えているようです。この他にも2016年4月に施行された障害者差別解消法により社会的に合理的配慮が求められています。主に教育機関や企業の方にロジャーを用意いただくという事例も増えてきています。
ロジャーについてお気軽にお問合せください
大阪補聴器専門店リスニングラボ日本橋店ではロジャーについてのご相談をお受けしています。特例補装具として申請希望の方のご相談もお受けしております。ロジャーは台数が限られているのであらかじめご予約をいただいております。店頭ではロジャーの試聴体験のほか、一週間無料レンタルも利用いただけます。ロジャーについてはお気軽にリスニングラボにお問合せください。