補聴器は古くから歴史のある管理医療機器です。ここでは補聴器について理解していただけるように解説していますのでぜひご参考ください。まず補聴器は耳を治療する機器ではないということをご理解ください。補聴器をすれば聞こえが昔に戻ると思っている人も多いのですが、それは残念ながら無理なんです。補聴器は低下した聴力を治療する機械ではありません。あくまでも難聴による聴力の低下を補う機械で、一般的な日常会話のサポートをする役割りをしています。まずは補聴器をつけるのはいつからがいいのか説明いたします。
補聴器をつける時期について
補聴器の適応はいつからか、このようなギモンを持たれていませんか?補聴器が必要となるのは生活に支障がでたら使いはじめた方がいいタイミングといえます。最近聞こえが悪い、周囲からの指摘もある場合には補聴器をして改善をした方がいいでしょう。聞こえが悪いと感じたらまずは聴力を調べる必要があります。今あなたがどれくらいの聞こえのレベルなのかを耳鼻科で検査をしたり、補聴器店でできる聴力測定をしてみてください。WHOでは聴力の数値が40dB以上の場合は補聴器を着ける目安とされています。40dB未満の軽度難聴の場合でも最近の補聴器は性能がよく、補聴器をするメリットはおおいにあるんです。補聴器はなるべく早期の装用がおすすめです。
補聴器の仕組みについて
補聴器は大きく分けると音信号を入力する部分、音の処理と音を出す部分から成り立っています。補聴器はマイクから音を拾います。このマイクも補聴器にあわせたとても小さなマイクです。補聴器の種類によれば一つだけではなく複数付いている補聴器もあり、マイクが多いとそれだけ補聴器の性能が上がります。音を拾うのはマイク以外にもテレコイルやワイヤレス無線機能を使うための受信機など外部端子が付いている機種もありますね。
何年か前まではアナログ補聴器が主流でしたが今ではデジタル補聴器となり、通信機器との接続が可能になっていることなど、より聞こえの幅が広がっているんです。デジタル信号を処理する装置が組み込まれているので音の処理が早く、より複雑な音環境の中でも聞きとりの改善ができるようになりました。この音の処理をする機械が補聴器の性能を大きく分けます。音を出すスピーカーは小型ですが十分に音を出力できるパワーがあるんです。音を出すパワーは聴力の程度によってあわすことができます。補聴器を稼働させるには空気電池を使用しますが、今では空気電池が不要な充電式補聴器も登場しています。
補聴器は調整が大事です
補聴器を調整することをフィッティングと呼んでいますが、補聴器はフィッティングがとても重要です。補聴器は使う人の聴力や聞こえの好みに合わせて音の出し方を調整して使用します。補聴器のフィッティングは最大限補聴器の効果を引き出すために必ずおこないます。出力する音をどれだけ制限するか、どれくらい音の入り方を大きくするかを決めるんです。
これは個人でおこなうことは設定などが複雑なためにできず、補聴器店のスタッフのみがパソコンと連動させてすべて操作しています。この調整は一度だけでは解決できないことがあり、その場合には再度調整をします。お店では問題がなかったが家に帰ったら気になることが出たりすることがあるんです。はじめは補聴器に慣れることも大事ですが、カンペキな調整を一度だけでおこなうのは難しく不都合がおこれば再調整をおこなっていただく必要があります。
補聴器は低下している聴力にあわせて音を出します
音の種類には低音や高音などがあり、聞こえが落ちている音域を調整します。低音が落ちているのなら低音域の出力を上げたり、それぞれに適応した細かな調整をします。補聴器は音を上げるだけではなく大きすぎる音が出ないように出力の制限をすることもできるんです。
大きな音がした時に補聴器がその音を大きくしてしまうと不快になってしまいます。音がガンガン頭に響いたりするととても補聴器をつけることができません。そうならないように補聴器には音を制限できる機能がついているんです。この制限も適当にやるわけではなく、それぞれの聴力にあわせて調整をします。
補聴器ができるコト
補聴器は音の増幅をするだけではなく、最新の補聴器では機械の進化でより素早い音声処理が可能となっています。デジタル補聴器は音の聞きわけと分析処理、音の分割と特定の方向からの聞こえの向上、ワイヤレス通信の利用ができるなど高性能です。
音の聞きわけと処理
補聴器にはチャンネル数という数字があります。このチャンネルとは音を分割できる数値を表しているんです。8チャンネルの補聴器なら音を8つに分割して処理することができます。音を分割して余分な雑音などを取り除く処理をします。チャンネルの数字が多いとより細かく雑音処理をおこなえるということです。しかし、メーカーによっても処理する内容に違いがあるので一概にチャンネル数だけで優劣を決めるのは難しいです。
音を適切な大きさに調整できる
補聴器は音の増幅と圧縮をします。難聴で聞こえなくなった音の範囲の中でなるべく広い範囲の音を聞けるように音の増幅と圧縮をするんです。難聴になるにつれて聞こえの幅、ダイナミックレンジが狭くなってしまいます。
ダイナミックレンジを簡単に説明すると、聞こえてくる音からうるさく感じる音までの距離です。補聴器を使って音を増幅、圧縮して狭くなった聞こえの範囲の中でなるべく広い範囲の音を聞こえるようにします。聞こえない音の周波数を違う周波数に変更し、聞けるように補聴器が働くんです。
雑音の抑制で聞きとりやすくする
聞こえが悪くなるにつれて、会話中に雑音が入っているとその雑音が会話にかぶさって聞きとれなくなってしまいます。補聴器で音を出して雑音まで大きくしてしまうと、聞きとりの改善は難しいですよね。補聴器には雑音を抑制することができる機能があるんです。その機能を使えば不要な音をとって聞きたい音だけをなるべく聞きやすくしてくれます。主にチャンネルの分割処理を利用することや、指向性マイクを使う方法が雑音抑制となります。
特定の方向の音を聞きやすく
補聴器にある複数のマイクを利用してこの効果を得ることができます。指向性と呼ばれる機能で、指向性は各マイクに入る音の時間差を利用して機能します。そのため、前方のみの音を拾いやすく、後方の音を抑えるということができるのです。指向性は補聴器の機種により性能に違いがあり、指向性の中でもいくつかのパターンが選べる機種もあるんです。
不快な音を抑える
補聴器からピーピー音が鳴っているのを聞いた、もしくは経験があると思いますがこれはハウリングという現象です。補聴器から出た音を補聴器で拾ってしまうことでおきてしまいます。
このハウリングを抑えるには耳の密閉を高めて音が漏れないようにするという方法が効果的ですが補聴器の機能で抑えることができます。主にハウリングが起きる特定の音だけを小さくしたり、逆位相の音でハウリングの音を打ち消すことが可能です。ハウリング以外にも不快に感じるのは風切り音や突発音ではないでしょうか。この二つの音も抑制することができる機能がついている補聴器があります。
補聴器ができないコト
補聴器は何でも聞こえる万能なモノではなく、当然改善が難しいこともあります。話し相手との距離が2、3メートル離れてしまうと補聴器では音声を拾うことが難しいです。そして騒音下での会話も性能がよい補聴器でもカンペキとまではいかず、補聴器をしていない時と比べると改善ができるとお考えください。もともとの聞こえの能力まで補聴器で良くすることはできないのです。会話以外のテレビや電話の聞きとりも聴力によっては難しい場合があります。
ワイヤレス通信機能を使うと聞こえの世界が広がります
最新補聴器の多くにBluetoothによるワイヤレス通信が可能な機種が多く出ています。電話やテレビの聞きとり、騒がしい場所での聞きとりなど補聴器だけでは改善が難しいこともワイヤレス通信機で補えます。
補聴器のワイヤレス機能について
主なワイヤレス機能をあげると補聴器とリモコンの連動です。専用のリモコンを使うことで補聴器本体を操作せず、音量の調整、補聴器に設定されている音質の切り替えをすることができます。小型化が進む補聴器です、ボタンの操作などをするのは難しいという場合があります。
リモコンの他に、Bluetooth機能が使える携帯電話(スマホ)と連動できる補聴器もあり、電話の通話も簡単にとても便利に使うことができるようになっていますね。リモコンやスマホとの連動以外にもテレビ音声を補聴器本体から出力できるという専用機器もあります。
離れた人の声をはっきり聞くことができるFMシステム(ロジャー)
難聴になると雑音に邪魔をされ、会話が雑音以上の音量でなくては聞こえません。学校に通う学生や複数人での会議がある社会人など、聞きとりが補聴器だけだはうまく聞きとれない場面があります。専用の通信機を使うことで離れた相手の声を補聴器に届けることが可能です。
FM機器が主流でしたが今ではロジャーがメイン機器として普及しています。ロジャーは従来のFMシステムとは違い、デジタル無線方式を採用しています。信号同士の干渉や混信が少なく、簡単な操作で複数の送信機と受信機を同時に使え騒音を抑制する機能も使うことができます。ロジャーは聾学校をはじめ、一般の学校や会社と施設にも設置がされている場所があり多くの難聴者をサポートしています。
補聴器の種類について
補聴器は主に3つのタイプにわかれます。耳あな型補聴器と耳かけ型補聴器、ポケット型補聴器です。3つそれぞれに特徴があり、自分に適応する種類を選ぶ必要があります。(骨伝導型補聴器もあります)
一人ひとりの耳の形状を型どって製作されるオーダーメイドの補聴器です。耳穴にしっかりはまるので装用感はピッタリしたイメージです。小型なサイズから大きなサイズまで選ぶことができます。
耳かけ型補聴器の中には2種類あり、標準型とRICタイプがあります。耳あな型補聴器と比べて違和感が少なく、こもる感じもしにくいのが特徴的です。使える機能が多く、色々な機能を使いたいという人におすすめできます。対応できる聴力も幅広いです。
補聴器の種類の中で一番簡易的な補聴器となります。耳あな型、耳かけ型と違い補聴器の細かな音質の調整ができず、音量の調整のみです。難しい操作が必要のない人の購入、もしくはメインの補聴器の予備として購入されています。
最新の補聴器は対応する聴力の幅が広く、ある程度どの補聴器でも対応することができます。耳の状態によっては決められた種類を選択しなければいけません。
耳あな型補聴器のメリット
- 耳型にあわせて作るので耳にぴったり合う
- 見た目が目立ちにくい
- 自然な聞こえ方
- 汗の影響を受けにくい
基本的に耳にしっかり合わせて作るので、しっかり入れれば外れることはありません。サイズが選べ、小型にすればほとんど見えず目立ちません。音が出る位置が鼓膜までの距離に近く、耳の中にマイクがつくので自然な聴こえとなります。
耳あな型補聴器のデメリット
- 耳にしっかり入っていないとハウリングする
- 耳の状態により作れない場合がある
- 音のこもり感を強く感じる場合がある
- 通信機能が使えないモノが中にはある
耳あなにうまく入れることができなければハウリングの原因になってしまいます。最近のものはハウリングが抑える機能がついている補聴器もあるので、心配であればハウリング抑制機能付きの補聴器を選ぶといいでしょう。耳あな型は耳あなを塞ぐので音のこもり感や違和感が出やすくなりますが、補聴器に通気穴をあけるとこもり感は和らぐ場合があります。
耳かけ型補聴器のメリット
- 軽度から重度難聴まで幅広い聴力に対応する機種がある
- 通信機能が多く使える
- 耳垢や耳だれでの故障がしにくい
- 価格が安い機種が選べる
- こもり感や違和感が少ない
耳かけ型補聴器は対応する聴力の幅が広く、適応しやすいです。ワイヤレス機器との通信などができる機種が多く、色んな機能を使いたい人に向いています。とても軽く、耳に入れている感覚も少ないので補聴器が初めてでも慣れやすいです。
耳かけ型補聴器のデメリット
- 防水があるが汗や水に気をつけなくてはいけない
- 耳栓をしっかり合わせないとハウリングする
- RICタイプの場合は耳あかや耳ダレがある人には向かない
最近の耳かけ型補聴器は防水機能が優れていて、多少の汗や水での故障がしにくくなっています。それでも完全防水では無いので水場はなるべく避ける必要があります。耳栓があっていないとハウリングのリスクが高くなりますが、オーダーメイドで耳栓を作ることで解決できる。
ポケット型補聴器のメリット
- ボリュームを見ながら簡単に手元で操作できる
- 大きな音で聞くことが出来る
- ハウリングがしにくい
- 価格が低価格
ポケット型補聴器の利点は操作が簡単なことです。音量の上げ下げをコントロールすれば使えます。マイク位置とスピーカーとの距離が離れているのでハウリングの心配が少ないのも特徴です。
ポケット型補聴器のデメリット
- 雑音を拾いやすい
- イヤホンコードが邪魔になることがある
- 若い人には向かない
- 音質の調整など細かくできない
耳あな型補聴器や耳かけ型補聴器と大きく違うのがパソコンでの調整ができないというところです。細かな調整ができないので快適性を求めることはできません。若い人の使用にはあまり適していないです。見た目も大きくてとても目立ちます。
成人用ではメガネ型、お子様用はカチューシャ型が基本となります。紹介した補聴器とはしくみもデザインも大きく違います。骨伝導補聴器は適応する方が限られており、誰でも合わすことはできない補聴器です。骨伝導補聴器は難聴のタイプが伝音性難聴の方のみに適応します。骨導値が良くなければ着けても聞きとり改善はありません。骨導聴力が0dBから20dB以内の方に適応します。
聴力データでみるとこの様なケースです。しかし、適応範囲内の聴力であっても言葉の明瞭度が悪ければ骨伝導補聴器を着けても改善できないことがあります。骨伝導式補聴器のメリットは他の補聴器とは違い耳あなに解放感があるので快適性が高くなります。一方デメリットはメガネ型の場合骨導端子を骨部に当てないといけないので締め付けがあり痛みが出ることがあります。あとは補聴器本体が大きいので破損のリスクが高くなります。
補聴器の価格相場について
補聴器の相場は安い補聴器でも片耳約50,000円ほどで、高い機種で片耳500,000円程度となります。補聴器の価格の違いには補聴器の性能が関係していて、高い補聴器はチャンネル数の数値やマイクの機能がよくなります。自分が使うのに必要な性能がある補聴器を選ぶことで補聴器の価格は決まります。
予算と性能を見て補聴器を選ばなければいけません。
補聴器はできれば両耳につけましょう
日本国内でも両耳の装用が増えていますが、片耳だけにつければ十分だというイメージが強いです。世界的にみればドイツやフランス、スイスでは両耳での装用率は70%を超えていて両耳装用は基本となっています。日本の両耳装用率は46%ほどです。(ジャパントラック2015より)補聴器の装用を考えているならお店で試聴する時には両耳で是非お試しください。そして片耳だけにした時と比較をしてみましょう。聞こえの違いがよくわかるはずです。
両耳に補聴器をするメリット
- どちらからの会話も聞こえる
- 方向感を得ることができる
- 言葉の理解力があがる
- 聞こえの悪化を防ぐ
- 片耳だけに着けるより疲れが少ない
補聴器を両耳にすることで音の方向がわかりやすくなります。そして大事なのは音を聞くということで、音は脳の神経をたどって感じます。音を聞かなければ脳の神経が休んだ状態になってしまいます。
この神経が悪くなると言葉の聞きとりが悪くなってしまうんです。両耳ともに聴力低下があれば両耳に音を入れて神経を休めないようにしないと聞こえの能力はどんどん低下してしまいます。そして耳は目と同じで片方だけ聞こうとすると片方に神経が集中するため疲れが大きくなります。目を片方だけ閉じた状態でずっと過ごすのと似ていて耳も片方だけで聞いていると疲労感が大きいです。
両耳に補聴器をするデメリット
- 補聴器の費用が倍になる
- 慣れない内は音に違和感がでることがある
デメリットは両耳分の補聴器の金額が必要なので片耳だけに比べると倍の予算が必要となります。違和感に関しては時間経過で解決することが多いです。
初めて耳に入れるということで不愉快に感じるというケースがありますが慣れていないために感じているだけであることが多いです。
すぐに補聴器を拒むのではなく様子をみてつけていただくことが大事なんです。
補聴器購入の流れ
まずは補聴器の無料相談をご利用ください。あなたの聞こえの悩み、補聴器の希望についてもお聞きします。相談後には聴力の測定をします。言葉の明瞭度をはかり、補聴器でどれくらいの改善が見込めるかを見ることができます。次に希望のメーカーや性能にあわせた補聴器の試聴をしていただきます。初めて試聴していただく時はまだ補聴器に慣れていないのであまり音を出しすぎないように調整します。この試聴の段階で問題がなければそのままレンタルできます。
補聴器を使ってみて購入が決まればオーダーをします。耳かけ型補聴器なら最短で2日、耳あな型のオーダーメイド補聴器は耳型をとりメーカーで作製するので1週間ほど納品にかかります。補聴器を購入するまでの来店回数も一番少なくて2回のみですが、補聴器は買った後もアフターケアが必要ですので購入後にも調整や点検をしましょう。補聴器購入後の機種の変更や返品の対応も可能です。耳かけ型補聴器は30日以内、耳あな型補聴器は90日以内であれば対応することができますのでご安心ください。
補聴器の試聴とレンタルをご利用ください
補聴器の試聴とレンタルで実際に補聴器をつけてみましょう。レンタルをすれば生活環境の中で使うことができるので補聴器の効果がよくわかります。補聴器がある時の聞こえかたとない時の聞こえかたは全く違います。補聴器をして今まで聞こえなかった会話にも応じることができれば補聴器をする価値は十分にあるのではないでしょうか。補聴器のしくみや機能を理解できれば実際に試してみましょう!聞こえない悩みは補聴器で解決できることが多くあります。はじめから諦めず、補聴器の効果をまずは実感してみてください。一人でも多くの人に聞こえる喜びを感じていただきたいです。
大阪補聴器専門店リスニングラボ日本橋店では一人ひとりの聞こえの悩みをお聞きして最適な補聴器を提案いたします。
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