音響外傷は大きな音で音楽を聴いたり、突発的な大音量を浴びるなど耳にダメージを受けると発症する誰にでも起こりうる難聴の種類です。音響外傷は耳なりやめまいが起きる他に難聴にも悩まされることがあるんです。病院で適切な治療を受けても後遺症として程度はさまざまですが難聴が残ってしまうケースがあります。難聴になると人とのコミュニケーションが困難になる以外に身の回りの危険を察知するのも難しくなるので生活の中でたくさんの悩みが増えてしまいます。音響外傷は専門医師による治療を受けても症状が治らなければ、医療機器である補聴器の使用が聞こえの改善方法となります。もし今の生活の中で心配なことがあれば予防方法なども紹介しているのでぜひご覧ください。
音響外傷とは
音響外傷は強大な突発音や大音量で音楽を聴くなど、鼓膜や耳の中にある有毛細胞がダメージを受けて両耳、または片耳に聴力低下がおきる感音性難聴になります。音響外傷で聴力の低下がおきると、会話が聞きとりづらくなる以外に、キーンやブーンという音の耳鳴りがおこります。耳なりにも個人差がありますが耳なりがひどく寝ることが困難になることや、人とのコミュニケーションや日々の生活の中でさまざまな影響が出てくることがあるでしょう。音響外傷は耳鼻科医師による適切な治療を受けることで回復する可能性がある難聴です。治療を受けても必ず完治するとは限らないのでご注意ください。
音響外傷の原因
音響外傷になる原因には主に以下のことが考えられます。もし自分が原因に当てはまっているということがあれば注意が必要です。
- ヘッドフォンやイヤホンで大音量の音楽をきく
- ロックコンサートで大音量を長時間きく
- 騒音の大きい場所での長年の勤務
- 爆発音を何度もきく
これらのように、大きな音を聞くことにより進行するということが多く、本人が症状を自覚しにくいです。中には急性的におこることもあり、聞こえの程度によっては数日経過で改善があることがあります。音響外傷は治療が遅れると後遺症が残る可能性が高いです。
音響外傷の症状
音響外傷になると聞こえが悪くなる症状のほか、周りが騒がしいと話の内容がわかりにくいこと、耳なりがあることもありますので聞こえ以外でも悩みを持たれているケースがあります。
- キーンという高い音や低い音の耳なりがある
- 片耳もしくは両耳の聞こえが悪くなる(難聴)
- めまいがおこる
- 頭痛があったり耳に痛みを感じる
- リクルートメント現象と呼ばれる大きな音に過敏になる
音響外傷の治療法について
音響外傷の症状がもし出ていれば耳鼻科医師の診察を受診することが大事です。音響外傷は早期の治療が重要ですが、必ずしも完治するとは限らないです。音響外傷は耳の中にある感音器官や神経に障がいがおきて聞こえが悪化したり、めまいが出たりします。治療方法はステロイド剤の投与やホルモン剤、ビタミン剤の投与がおもとなっているようです。そのほかには規則正しい生活をするように生活改善をして、静かな環境で過ごすなど疲れやストレスを無くすようになるべく安静にしておくことで自然治癒することがあるようです。注意いただきたいのが民間療法や音響外傷の可能性に気づいていたら症状を放置しないようにしましょう。音響外傷の治療は専門の病院に行って適切な治療を受けるのが望ましいです。補聴器は治療する機器ではないので、補聴器を試す前に必ず耳鼻科医師に相談をしましょう。
音響外傷の予防方法
音響外傷による難聴を予防するには、大きな音がする環境では耳栓やイヤーマフを使用して強大音をなるべく遮音することです。耳栓をするだけでもかなり違いがありますので職場が工場の方やパチンコ店で働いている、もしくはよく行く方、音楽が好きでバンドをやっている方、ライブによく行く方はぜひ予防策として耳栓を使用しましょう。そのほかに、イヤホンやヘッドホンで大きな音を聴いている方は音楽を聴いた後はなるべく静かな環境にいる時間を作るのがいいですね。大きな音を耳にした後は静かな場所にいる時間を作るのがいいでしょう。
音響外傷や騒音性難聴にはイヤープラグ(耳栓)の使用が一番の予防となります。強大な音がある環境に長い時間いると耳へのダメージは大きく、音の大きさと、その音を聴く時間によりキケン度が変わります。もし長時間大きな音を聴くことがあれば難聴になるリスクはとても高くなってしまいます。そこで予防方法の一つとして耳栓の使用がいいでしょう。最近では有名アーティストのライブでは耳栓を配っていたり、耳を守るように啓蒙活動をされていたりします。ライブでも大きな音で演奏されるので耳にはあまり良くないのが現実ですので、バンドマンの方やライブによく行かれる方はしっかり予防しましょう。最近では市販で多く販売もされていますし、オーダーメイドで作ることなども可能です。
音響外傷による聴力を改善させるには
治療で回復が難しいときや、後遺症がある場合は医師の判断で補聴器の装用を勧められることもありますね。また実際の補聴器の購入には補聴器専門店へ相談する必要があるでしょう。治療で回復しない聴力は元に戻すことはできません。それは補聴器を使っても言えることですが、補聴器は医療機器ですが治療をしてくれるわけではありません。あくまでも低下した聴力を補ってくれるモノですのでご注意ください。そして、補聴器を使ううえで注意しなければいけないことがありますので確認しておきましょう。
音響外傷に適した補聴器
音響外傷に適する補聴器は自分でボリュームコントロールできたり、パワー制限がある機種を選びましょう。音響外傷で補聴器を選ぶ時に注目したい機能は、ココまでの音しか出せないという風に指定する以上の音量にならないよう補聴器の音量の増幅を抑える出力制限です。音響外傷の症状を進行させないためには必須の機能の一つです。そのほかには突発音抑制機能もあるといいでしょう。この機能は突然発生した大きな音を瞬間的に抑え、大きな音が響くことを回避して快適に補聴器を扱うことができるようになります。音響外傷では大きな音に敏感になりやすいですので突然の大きな音を抑制するためにも必要となりますね。上記のような機能がある補聴器を使用すればより安心して補聴器を使用することができるでしょう。
補聴器の使用で気をつけること
補聴器は音響外傷で低下した聴力の改善に適していますが、選ぶ補聴器や使い方には注意しなければいけません。聴力を改善させるはずの補聴器ですが、事例として補聴器が原因で音響障害になるというケースがあります。この原因としては補聴器の機種が適切ではないことや音量、音質の調整が出来ていないことでおきます。補聴器の音量が大きすぎたり、突発音の抑制機能がついていない補聴器などを使用すると耳への負担が大きくなってしまい、音響外傷になってしまう恐れがあるんです。このリスクを避けるために、補聴器は補聴器専門店など補聴器を扱うお店で選ぶということです。通信販売や対面販売以外で売られている機種の中には音の制限ができない機種なども存在しますので注意して購入する必要があります。
音響外傷になった時の保険について
音響外傷になった時には労災認定をうけることができ労災保険が適用になるケースがあります。音響外傷での労災保険の認定基準について、厚生労働省から労働基準局へ以下の通達が出ています。
1 著しい騒音にばく露される業務に長期間引続き従事した後に発生したものであること。
2 次の(1)及び(2)のいずれにも該当する難聴であること。
(1)鼓膜又は中耳に著変がないこと。
(2)純音聴力検査の結果が次のとおりであること。
・オージオグラムにおいて気導値及び骨導値が障害され、気導値と骨導値に明らかな差がないこと。すなわち、感音難聴の特徴を示すこと。
・オージオグラムにおいて聴力障害が低音域より3,000Hz以上の高音域において大であること。
内耳炎等による難聴でないと判断されるものであること。
著しい騒音に起因した難聴には、騒音性難聴の他に爆発音などの強大音ばく露によって急激に起こる音響外傷と騒音下に長期間ばく露されていて、ある日突然に高度の難聴が起こる騒音性突発難聴とがある。これらの難聴のうち、本認定基準によって取り扱われるものは騒音性難聴のみである。
(昭和61年3月18日)
(基発第149号)
(各都道府県労働基準局長あて労働省労働基準局長通知)
音響外傷での難聴でも、騒音性難聴として医師に診断された場合に労災保険の対象となります。労災認定をうけるには、騒音がある現場や工場などで勤務していて難聴の原因が業務中にあったかどうかが認められることが前提となっているようです。
音響外傷でお悩みならお気軽にご相談ください
音響外傷でお悩みならリスニングラボにお気軽にお問合せください。もし病院を受診していないなどであれば病院を紹介して案内させていただきます。補聴器のご相談前にかならず医師とご相談のうえお試しください。