クロス補聴器は片耳難聴(一側性難聴)の改善にとても効果的です。クロス補聴器は片耳難聴(突発性難聴・ムンプス難聴・先天性難聴、その他)であり、適応する聴力の範囲であれば聞こえを大きく改善できます。片耳難聴に使うクロス補聴器は片耳の聴力低下に伴う聞こえづらいを改善しますが片耳難聴でも両耳装用であることが特徴です。当サイトでは片耳難聴で選ばれるクロス補聴器について分かりやすくそして、少し詳しく解説してみたいと思います。クロス補聴器の仕組みや補聴器メーカーを調べる参考にご一読ください。
片耳難聴では仕事での聞き間違いが増えていることや、日々のコミュニケーションがうまくいかないなど聞こえのことや人間関係で大変悩みがでますよね。片耳難聴は両耳難聴の方に比べて、周囲からもあまり理解をしてもらいにくい難聴です。片耳難聴の聞こえを改善させるには専用のクロス補聴器があります。クロス補聴器という名前は知っていてもイマイチわからないことも多いかと思いますので今回は初めてみても理解いただけるようにご紹介していきます。片耳難聴で補聴器をお考えであればぜひご参考ください。
ここからは、片耳難聴のお悩みについてお話しいたします。
片耳難聴の悩み
片耳難聴は片耳は聞こえているからマシだと思われがちですが、聞こえに関しての悩みはとても多く出てきます。本来両耳で聞いているのが半分になるので、当然聞こえの範囲は狭くなりスムーズな聞きとりができなくなります。
- 難聴側から話をされると気づけない
- 自分の位置を常に気にしなくてはいけない
- 騒がしい居酒屋などで会話をするときに話しの内容がわからない
- 複数で会話をするとみんなの話ていることがわからず会話に入りにくい
- 片耳難聴を知らない相手には無視をしているなど勘違いされてしまうことがある
- どこで聞こえているのか音の方向感がわからない
- 音楽を聴いていても違和感があり楽しめない
これら以外にも片耳難聴のお悩みたくさんあるでしょう。片耳難聴であることを周囲に伝えているか、伝えていないかでも抱える悩みは違ってくるでしょう。
ここからは、片耳難聴の種類や症状などを紹介しますね。
片耳難聴とは
片耳難聴について少し説明いたします。片耳難聴は片耳のみが難聴となることですが、その原因や種類はさまざまです。生まれつきの方もいれば、病気にかかって突然難聴になったということもあります。近年でも片耳難聴の方は多く、若い方やご年配の方、性別も関係なくおこりうる難聴です。
片耳難聴の主な種類
- 突発性難聴
- ムンプス難聴(おたふく風邪)
- 先天性難聴(生まれつきの難聴)
- 中耳炎
- 音響外傷
片耳難聴の主な症状
片耳難聴は片側の音を聞くことができない、聞きづらくなるために集音範囲が狭くなるほか、音の方向感がつかみにくいということがあります。片耳が聞こえないので常に自分のいる場所にも気をかけなければいけないですし、聞きとることに集中する場面が増えてしまうので疲れやストレスをかかえやすくなります。聞こえづらくなるほかに耳なりが出ることもあり、睡眠の妨げになったり集中することが難しくなることもあるんです。片耳の難聴は片耳が聞こえているので周囲にはわかりづらく、コミュニケーションの場では勘違いされたりすることがあります。
片耳難聴の治療方法と改善について
片耳難聴の治療は専門の耳鼻科医師によりおこなわれます。片耳難聴は自分で気づきやすい難聴の一つです。もし聞こえに違和感がある場合にはすぐに病院を受診されることをおすすめします。片耳難聴の治療は早期におこなうのが大事です。そのままにして自然に治るということはありませんのでご注意ください。片耳難聴の治療はおもにステロイド剤の投与がメインとされているようで、入院して治療をおこなうこともあります。治療をすれば治る可能性はありますが、必ずしも完治するとは限りません。もし治療をしたが難聴が治らないということがあれば医師から補聴器をすすめられることがあります。しかし、重度の片耳難聴となると一般的な補聴器で聞こえを改善させることはできないので補聴器は意味がないということですすめられないケースもあるでしょう。
片耳難聴に有効なクロス補聴器
補聴器で改善できない片耳難聴にはクロス補聴器を着けることで改善がみられます。クロス補聴器は片耳難聴なら誰でも適応する機種ではありませんのでまずはどのような方がクロス補聴器に適応するかをご説明いたします。
片耳難聴でも難聴の程度によれば通常の補聴器を片耳につけるだけで改善できることもあります。補聴器だけで改善できるのか、クロス補聴器で改善できるのかは聴力を確認しなければ判断することはできません。もし左右の聴力に40dBほどの聴力の差がある場合には通常の補聴器だけでは改善することができません。それほどの聴力差があれば補聴器を着けても音は認識できるが言葉の鮮明さがなく、何を話しているのか内容の理解ができません。
もしこのような聴力であれば、通常の片耳補聴器では改善ができないのでクロス補聴器での改善を選択する必要があります。
クロス補聴器のしくみ
クロス補聴器は難聴のある耳に音を入れるわけではありません。クロス補聴器は送信機の役目をし、受信機となる通常の補聴器と一緒に使います。ですのでクロス補聴器と補聴器2台必要となり、両耳に着けて改善をします。難聴度の高い耳にクロス補聴器をつけ、もう片耳には補聴器を着けます。クロス補聴器と補聴器は互いに通信をおこない、クロス補聴器(難聴の耳)側で発生する音声を補聴器に送信することができます。ですので、今まで聞こえなかった難聴側の音声を聞こえる耳で聞くことができるようになります。
クロス補聴器の種類
クロス補聴器の種類についてご紹介します。クロス補聴器はフォナック補聴器(Phonak)、シグニア補聴器(Signia)、ワイデックス補聴器(WIDEX)で取り扱いがあります。クロス補聴器はおもに耳かけ型のRICタイプが主流となりますがフォナックでは耳あな型のオーダーメイドタイプも取り扱いがあります。各メーカーでそれぞれ対応する補聴器が決まっていますので対応機種の中から補聴器をお選びいただきます。
フォナック補聴器のクロス補聴器は耳かけ型RICタイプ、充電式耳かけ型RICタイプ、耳あな型カナルタイプがあります。フォナックのクロス補聴器の特徴は他メーカーと比べてバリエーションが豊富なので好みの機種を選びやすいです。電池寿命を気にすることが多いクロス補聴器に充電式があるのもうれしいですね。フォナックのクロス補聴器はクロスの音量バランスを自分で変えることができます。選ぶ補聴器により指向性の有無が変わりますので確認しておく必要があります。耳あな型はおもに両耳が難聴で左右の聴力に大きな差がある方にバイクロスとして使うのに有効です。
クロスB-312 | クロスB-13 | クロスB-R | |
電池/電池寿命 | 312/最大約58時間 | 13/最大約96時間 | リチウムイオン/フル充電最大16時間 |
対応機種 | ビロングシリーズ | ビロングシリーズ | オーデオB-R |
市場価格相場 | 95,000円(税抜) | 95,000円(税抜) | 110,000円(税抜)充電器12,000円別 |
クロスB-312カスタム | クロスB-13カスタム | |
電池/電池寿命 | 312/最大約76時間 | 13/最大約126時間 |
対応機種 | バートB-312 | バートB-13 |
市場価格相場 | 120,000円(税抜) | 120,000円(税抜) |
シグニアのクロス補聴器は耳かけ型RICタイプと新たに充電式の耳かけ型RICタイプがあります。シグニア補聴器のクロスの特徴は対応する機種がとても多いことです。他メーカーであれば対応するシリーズの機種が限られていますが、シグニア補聴器では耳あな型補聴器と組み合わせることなども可能です。今回充電式もリリースされたので片側だけ充電式ということもしなくてすみますね。
クロスPure-312 | クロスPure Charge&Go | |
電池/電池寿命 | 312/最大約110時間 | リチウムイオン/フル充電最大約21時間 |
対応機種 | PureNXシリーズ(10NX/IIC/CICは対応外) | PureNXシリーズ(10NX/IIC/CICは対応外) |
市場価格相場 | 90,000円 | 100,000円 充電器43,200円別 |
ワイデックスのクロス補聴器は耳かけ型のクロス補聴器RICタイプのみとなります。電池サイズを選ぶことができそれに合わせて少し補聴器のサイズも変わってきます。ワイデックスのクロス補聴器は他メーカーと比べて充電式がないのですが、その分電池の持ちがよくなっています。電池の寿命を気にされる方にはいいですね。他には本体のカラーが豊富に選べるのも特徴の一つです。
Fusion | Fashion | |
電池/電池寿命 | 312/最大約130時間 | 13/最大約150時間 |
対応機種 | ユニーク、デイリー、ドリーム | ユニーク、デイリー、ドリーム |
価格相場 | 95,000円(税抜) | 95,000円(税抜) |
クロス補聴器の相場価格
クロス補聴器にはクラスによる価格の違いがありません。ですのでお選びいただく補聴器により価格が変わります。変わるのは価格だけではなく性能も違うので自分で使いたい機能がある機種やカタチで選ばなければいけません。クロス補聴器と補聴器をあわせた時の価格相場は一般的によく出ているもので200,000円から300,000円の範囲内です。価格相場を知っておけば予算を考えやすくなりますね。
クロス補聴器の選び方
クロス補聴器を選ぶときに注意するのが補聴器の性能と購入する場所です。まず補聴器の性能のことで説明すると、クロス補聴器は送信機なので性能は何もありません。聞こえの改善に役立つ雑音の抑制や会話の快適性を上げる指向性は選ぶ補聴器によって決まります。ですので価格だけで決めるのではなく、補聴器のもつ性能を重視して選ぶのがいいでしょう。たとえば騒がしい場所でよく使うことが予想される方であればある程度雑音抑制や快適性を保てる機種でなければいけません。クロス補聴器を選ぶときは自分の生活環境をよく考えて対応できる性能の機種を選ぶ必要があります。クロス補聴器をまず選ぶときには試聴とレンタルをして聞こえ方をそれぞれ実感してみましょう。
クロス補聴器を購入するお店
クロス補聴器を選ぶときにお店にも注意しなければいけません。クロス補聴器は一般的な補聴器とは違いどこの補聴器店でも扱っているわけではありません。中にはクロス補聴器の知識や調整技術がないお店もあるので事前に取り扱いがあるかどうかの確認をしましょう。補聴器店の中でも一番いいのは補聴器を専門に扱う補聴器専門店がおすすめです。補聴器専門店には認定補聴器技能者が在籍していることや、補聴器についての知識や調整技術が優れているスタッフがいるためです。
クロス補聴器のメリットとデメリット
クロス補聴器にはメリットになることがとても多いほか、反対にデメリットとなることもありますので確認しておきましょう。クロス補聴器のメリットは聞こえの範囲が広くなることです。今まで片側のみでしか聞くことができなかった音や会話を聞くことができるようになります。これは片耳難聴であれば最大のメリットとなります。クロス補聴器を着けることで自分の居場所もわざわざ気にかけなくても済みますし、声をかけられても気づくことができます。
クロス補聴器のデメリット
逆にクロス補聴器のデメリットとなることをご紹介します。クロス補聴器のデメリットは経済的なことと聞こえ方の話になります。経済的なデメリットとは補聴器とクロス補聴器の2台用意しなければいけないのでその分の費用が必要になることと、クロス補聴器は常に通信をしながら使うことになります。ですので電池の持ちが通常の補聴器とは違い少し早くきれてしまいます。そのため電池を購入する頻度があがります。しかし、最近では充電式のクロス補聴器もあるので充電式であれば初めの費用は少し高く感じますが後のことを考えれば経済的にお得になります。費用に関するデメリット以外ではクロス補聴器は補聴器側で音を聞くしくみのため音の方向感がつかみにくいということ、あまりにも騒がしい場所では聞きとりが難しいことがあります。しかし、クロス補聴器はメリットとなることの方が多いため、デメリットに関してはひどく感じないかもしれません。
まとめ
片耳難聴に選びたいクロス補聴器についてご紹介しました。クロス補聴器は片耳難聴の聞こえの改善にとても役に立つ機種です。片耳難聴で聞こえにお悩みであればクロス補聴器を着けることで聞こえの世界が大きく変わるでしょう。仕事で聞きとりが難しかった場面で聞こえを最大限サポートしてくれます。クロス補聴器を着ければ片耳難聴の悩みが解消されコミュニケーションを積極的におこなえるようになるでしょう。