片耳難聴者の聞きとりをサポートする、CROS補聴器(クロス補聴器)の紹介です。片耳難聴(一側性難聴)には一般的な補聴器があわない可能性が高く、実際に片耳のみに補聴器をしても聞きとりが改善されにくいことがおおいです。片耳難聴にはいくつか原因や症状がありますが、片耳難聴であればクロス補聴器は適応します。クロス補聴器についてわかりやすくご紹介していきますね。
クロス補聴器のしくみ
クロス補聴器は一般的な補聴器とは違い、送信機の役目をしています。送信機ですので使うには受信機が必要になります。受信機として用意するのは補聴器です。クロス補聴器は補聴器と一緒に使わなければ機能しないので片耳だけが難聴であっても両耳に装用して使います。難聴のある耳にクロス補聴器をつけ、健康な耳に補聴器をつけるのですが、クロス補聴器に入る音声を健康な耳につけた補聴器に送信します。
クロス補聴器はこのような方に適用します
片耳難聴の程度が高度から重度難聴の場合、通常の補聴器を片耳につけても音が入っているのはわかりますが、言葉として認識、理解することが困難で、ほとんどできなくなります。聴力データを参考に一般的に考えられているのは、健康な耳の聴力と難聴のある耳の聴力に50dB以上の聴力差があれば一般的な補聴器での聞こえ改善は難しいと言われています。
赤色のチェックが右耳の聞こえをあらわし、青のチェックが左耳の聞こえで、このチェックが下にいくにつれ難聴度が高いことをあらわします。このような聴力の場合、右耳と左耳の聞こえの差が大きいので通常の補聴器の適用は難しくなり、クロス補聴器でしか改善することができないでしょう。片耳難聴でも難聴の程度によってクロス補聴器か通常の補聴器どちらが良いかがわかります。また、片耳難聴になりもう片耳も難聴という方にもバイクロスという調整方法が適用されます。
バイクロスについて
クロス補聴器にはバイクロスという調整方法があります。これは片耳難聴でもう片耳も難聴という方に適用されるフィッティングです。ただ単に両耳難聴ではなく、バイクロスの適用も左右の耳で大きな聴力差がある場合にのみ有効的です。
クロス補聴器のタイプ
クロス補聴器には耳かけ型と耳あな型の二種類のタイプが選べます。クロス補聴器の取り扱いのあるメーカーはフォナック(Phonak)、シグニア(Signia)、ワイデックス(Widex)があります。耳かけ型と耳あな型の2タイプありますが、耳あな型が選べるのはフォナックだけです。電池式のクロス補聴器がまだ主流ですがフォナックには充電式クロス補聴器のご用意もあります。リスニングラボではフォナック補聴器とシグニア補聴器のクロス補聴器の取り扱いがあります。メーカーにより機種の扱い方や音質に違いがあるので比較して試してみるのがいいでしょう。
耳かけ型クロス補聴器
耳かけ型クロス補聴器はクロス補聴器の中でもスタンダードなタイプとなります。耳かけ型ですので違和感がとても少なく、着けているのも忘れてしまいそうな着け心地です。片耳難聴で片耳は健康な場合には耳かけ型クロス補聴器がオススメです。多機能性があり、ボリュームの変更などカンタンにおこなうことができます。フォナックのクロス補聴器はボリューム調整以外にクロス側のバランスを手動で変更することが可能です。シグニアは本体での調整はできませんがスマホのアプリ内であれば変更可能です。
耳裏に本体が隠れるようなサイズ感です。13タイプは少し大きくなるので見えやすくなりますが、コントロールスイッチが付くので操作性がいいのと、312タイプに比べ電池の持ちも良くなります。髪を伸ばされている方であればほとんど目立ちません。
カラーはオーデオシリーズ同様のカラー展開があります。髪色に合わせることでより目立ちにくくなりますし、逆に明るい色で目立たせることもできます。右と左を区別するために左右でカラーを変えてオーダーするのもオススメです。
クロスB-312 | クロスB-13 | クロスBR | |
電池/電池寿命 | 312/最大約58時間 | 13/最大約96時間 | リチウムイオン/最大約16時間 |
対応機種 | ビロングシリーズ | ビロングシリーズ | オーデオBR |
価格相場 | 95,000円(税抜) | 95,000円(税抜) | 110,000円(税抜) |
シグニアのクロス補聴器は312タイプのみの取り扱いになります。小型ですのでとても目立ちにくいデザインです。耳の形状や髪型によって見えにくさは変わります。写真のように耳に入るレシーバーは透明ですが見えるようになっています。髪型で左右されますが補聴器の中でも比較的小型サイズとなります。
シグニアのクロス補聴器は好みのお色を選ぶことができます。髪の毛色に近いカラーを選ぶとより補聴器本体がわかりにくくなります。左右で色を変えて右と左をわかりやすくすることもできるので、右と左を間違えないか心配な方には大変オススメですよ。
クロスピュア312NX | |
電池/電池寿命 | 312/最大約110時間 |
対応機種 | NXシリーズ(10NX、incoIIC/CICを除く) |
価格相場 | 90,000円 |
新たに充電式が追加されました!クロスピュア312NXも充電式に対応していましたが、これでクロス補聴器も同じ充電器で使うことができるようになりました。対応機種に変わりはありません。
クロスPure Charge&Go | |
電池/電池寿命 | リチウムイオン電池/フル充電21時間 |
対応機種 | NXシリーズ(10NX、incioIIC/CICを除く) |
価格相場 | 100,000円(別途充電器43,200円が必要) |
ワイデックスのクロス補聴器は312タイプと13タイプで選べるようになっています。耳かけ型補聴器ですので髪型にも目立ちにくさは影響します。髪を短くされている方であれば後ろから見ると補聴器本体が見えます。デザインがシンプルですので着けやすいですね。
ワイデックスのクロス補聴器は豊富なカラーが自慢です。他メーカーにないカラフルさがありますね。オシャレにみせるなら明るくキレイなカラーを選ぶのもいいですね。目立たないようにするには、なるべく髪の毛の色に近づけると馴染むので
Fusion | Fashion | |
電池/電池寿命 | 312/最大約130時間 | 13/最大約150時間 |
対応機種 | ユニーク、デイリー、ドリーム | ユニーク、デイリー、ドリーム |
価格相場 | 95,000円(税抜) | 95,000円(税抜) |
耳あな型クロス補聴器
耳あな型のクロス補聴器は今現在フォナックでのみで取り扱いがあります。耳あな型のクロス補聴器は片耳難聴でもう片耳にも難聴があるという方に適しています。(バイクロス)まったく健康な耳であれば耳あな型の場合、耳あなをふさいでしまうので閉塞感が出てしまいます。もともとの聞こえの妨げにもなるおそれがあるので難聴がなければ耳あな型はオススメできません。クロスの耳あな型は電池サイズを2種選ぶことができますが、2019年今現在小型のIICタイプやCICタイプでは作製することができないのでご注意ください。
耳あな型のクロス補聴器はオーダーメイドですので耳あなにピッタリおさまります。運動をしても落ちる心配もありません。耳かけ型と比べて少し目立つ印象があります。特にボリュームの変更を自分でする必要がある場合はボリュームスイッチが付くので、サイズが大きくなります。通常の耳あな型補聴器とは違い、小型の目立たないサイズではオーダーすることができません。
耳あな型クロスのカラーは4色あり耳の中に入るので一見ベージュ一色のようです。右が赤色、左が青色と区別できるようにオーダーすることが可能です。標準はその2色ですがほかにクリアカラーとベージュも選ぶことができます。
クロスB-312カスタム | クロスB-13カスタム | |
電池/電池寿命 | 312/最大約76時間 | 13/最大約126時間 |
対応機種 | バートB-312タイプ | バートB-13タイプ |
価格相場 | 120,000円(税抜) | 120,000円(税抜) |
クロス補聴器のメリットとデメリット
クロス補聴器は片耳難聴で困難になった聞こえを改善してくれる大きなメリットがありますが、使ううえでデメリットとなることもあります。クロス補聴器を使う前にどんなメリットとデメリットがあるのかを確認しておきましょう。クロス補聴器はメリットになることの方が多くあるので、デメリットはあまり強く感じないかもしれません。
クロス補聴器のメリット
クロス補聴器の大きなメリットには聞こえない耳側の音声を拾ってくれるという機能があります。今まで聞こえなかった音声に気づくことができるのでこれはとても素晴らしいことです。周囲のモノ音や何かキケンが近づいてもすぐに気づくことができます。そのほかにも、会話の聞き間違いや聞き逃しが減ることや複数人での会話にもいつもより積極的に参加することができるでしょう。自分の立ち位置を気にすることや片耳だけに集中して聞く機会が減るので疲れやストレスも解消されます。
クロス補聴器のデメリット
クロス補聴器を使えば今まで聞きとれなかった音や声を聞けるよう改善されますが、クロス補聴器の特徴や機能面の中にデメリットもありますのでご紹介いたします。
- 音の方向感覚がつかみにくい
- 電池の消費が早い
- 両耳で揃えないといけないのでコストがかかる
大きなデメリットはこの3つです。クロス補聴器から聞きとるため音の方向感がわかりにくいことがあります。しかし、個人差があるので慣れれば気にならないことがあります。デメリットに関してはクロス補聴器の性能より一番は電池の稼働時間でしょう。クロス補聴器は通常の補聴器と違い、常に通信をしているのでその分電池の消費が早くなってしまいます。ほかにはクロス補聴器は一台で使えず、補聴器も用意しないといけないので費用が増えるということがあります。
クロス補聴器を試聴レンタルしてみましょう
クロス補聴器が気になったらまずはご相談ください。大阪補聴器専門店リスニングラボ日本橋店ではフォナック補聴器とシグニア補聴器(旧シーメンス)のクロス補聴器を試聴、レンタルしていただけます。クロス補聴器を使えば、片耳難聴で普段聞こえにお困りのシーンであなたの助けとなるでしょう。
聞こえの改善をお考えであればまずは体験してみてください!クロス補聴器に関するご質問はお気軽にお問合せください。